あまり知られていない西洋音楽史~ロマン派音楽~
フレデリック・ショパン
知らない人はいないであろう超有名人のショパンもロマン派音楽家の一人です。
ショパンは1810年にポーランドで生まれ、多くのピアノ曲を残しています。
作曲家としてはもちろんのこと、ピアニストとしての実力も相当のものでした。
ショパンもシューベルトと同じように39歳という若さで亡くなっています。
ピアノの詩人
ショパンは「ピアノの詩人」と呼ばれているのをご存知ですか?ショパンの残した作品のほとんどがピアノ曲であり、その曲のどれもが美しい旋律であることからついた名前です。
ショパンの時代のピアノはまだ現在のピアノの機能には程遠いものでしたが、古典派時代のピアノに比べるとかなり進化していました。進化をしたピアノでショパンは新しい音楽への挑戦に没頭し、様々な表現様式を生み出してくれました。
強いポーランド愛
ポーランドはヨーロッパの中心に位置しています。ロシアやドイツ(正確にはドイツの前身であるプロイセン」に侵略されていた時期があり、ポーランドは自国の文化を押さえつけられていたのです。
ショパンはポーランドで生まれましたが、作曲活動はほとんどフランスで行っています。フランスにいながらも母国への想いは強く、ポーランドの民族舞踊である「ポロネーズ」「マズルカ」などのポーランドの文化を音楽に残しています。
また、ポーランドを出てから一度も母国に戻ることなくこの世を去ったショパンですが、ポーランドへの愛情をよく理解していた姉がショパンの心臓をポーランドの教会に納めたそうです。
世界一有名なポーランド人?
ショパンは世界一有名なポーランド人と言われています。
ポーランドの首都、ワルシャワにあるワルシャワ空港は「ワルシャワ・ショパン空港」と名付けられているほどです!
4年に一度、ワルシャワで行われるショパンコンクールは世界中のクラシックファンが注目し、ポーランド=ショパンという図をより強くしています。
おすすめ曲
どれを代表曲として紹介すればいいのかわからないほど有名な曲が多いショパン。今回はおすすめの曲をご紹介します。
・舟歌
舟歌はイタリアヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの歌が由来となって生まれたと言われてあり、ショパンに限らずたくさんの作曲家が「舟歌」という名前を付けた小品を作曲しています。ゴンドラ漕ぎがゆらゆらしながら鼻歌を歌っているような情景が思い浮かぶようなゆったりとした曲調のものが多く、複合拍子で作られていることがほとんどです。
ショパンの舟歌は数ある舟歌のなかでも高い評価を得ており、完璧な作品と評価する人も多い傑作です。
美しい旋律にゆったりした曲調とは裏腹に三度のトリルが出てきたり、演奏の難易度はとても高いです!
・ラルゴ
2021年にショパンコンクールで第2位になった反田恭平さんが三次予選で弾いて話題になった一曲。
この曲は「神よ、ポーランドをお守りください」というポーランドで歌われていた聖歌をショパンがピアノの小品にしたものです。ここにもショパンの母国愛が感じられます。
ショパンの作品の中では音が少なく、弾きやすい作品です。が、その分表現力が求められる作品です。
・4つバラード第3番
ショパンの作品の中でも人気の高いバラード。
バラードとは定義ははっきりとしていませんが、物語性を感じさせる音楽のことです。
ショパンはポーランドの詩人、ミッキエヴィッツの作品を元に4つのバラードを書き上げました。
フィギュアスケートの羽生結弦さんが使用したことでも有名な1番がおそらく最も人気のある作品だと思います。(演奏される機会がとにかく多い!)
ですが、今回は個人的におすすめしたい3番をご紹介します。
バラード3番はミッキエヴィッツの「水の精」をモチーフにしています。
4曲のうちは少し悲劇的1、2、4番は悲劇的な印象をもった作品ですが、この3番だけは優美さと陽気さをもつ作品となっています。4曲通して聞いていただけるとその違いがより楽しめると思います。
4つのバラードはどの曲も技術的にも音楽的にも難易度は高くなっていますが、どうしてもバラードを弾いてみたい!という方にすすめるなら2番かな、という気がします。