あまり知られていない西洋音楽史~ロマン派音楽~
ヨハネス・ブラームス
クラシック界の大御所、ブラームスです。
ブラームスはバッハ、ベートーヴェンと並んで「三大B」とも呼ばれています。
1833年にドイツのハンブルク生まれました。
お父さんはコントラバス奏者でブラームスが幼いころから音楽のレッスンをしたそうです。
ロマン派に生きた作曲家ですが、ブラームスは古典派の形式を大切にし、ドイツ音楽を継承しました。
オペラ以外の作品は網羅しており、どの楽器の奏者にも愛される作品を多く残しています。
3つの顔を持っていた
ブラームスは誰もが知る作曲家ですが、指揮者、ピアニストとしてもとても有名でした。10歳のころにはすでに舞台に立っており、ピアニストとしてお金を稼げていたほどです。生涯で2曲作っているピアノ協奏曲はどちらも初演を自らのピアノ演奏で行っています。ブラームスのピアノ協奏曲と言えば一流のピアニストでも弾きこなすは至難の業。そんな曲を自ら弾いて成功を収めるという偉業を達成するほどの腕前でした。
そしてもう一つの顔が指揮者。30代でウィーンにて指揮者として活動しています。こちらはすぐにやめてしまっていますが、ブラームスは多くの合唱曲も残しており、指揮者の経験が合唱曲の作曲に大きく貢献していると言われています。
内気な性格だった!
ブラームスの顔をご存知ですか?
気難しそうでちょっと怖そうですよね。。
ブラームスは見た目とは裏腹に穏やかで内気な性格だったそうです。
作曲家の多くは自筆の楽譜などがのちに発見されることが多いのですが、内面を外に出すことが苦手なブラームスは作曲中の自身の苦悩などを表に出すことを嫌い、自筆譜を処分した、というエピソードもあります。
ブラームスの作風
ブラームスはベートーヴェンを尊敬しており、古典音楽を追求した作曲家でもあります。「保守的」と言われることもありますが、内気な性格だった故にベートーヴェンへの尊敬の気持ちを外に出さずに曲に託していたのかもしれません。
標題音楽が流行っていたロマン派でしたが、ブラームスは標題音楽を嫌っていました。きっと彼は音楽は音であり、文字ではないと確固たる信念があったのでしょう。
そんなことが読み取れるかのようにブラームスの音楽はシューマンやショパンのような優美な音楽とは違って男性的な強さを感じられる作品が多いです。
古典派の形式を重んじていますが、メロディーは美しいものが多く、多くの人を魅了し続けています。
代表曲
ブラームスも数多くの曲を残していますが、その中から聞いてほしい曲をほんの一部だけピックアップさせていただきます。
・ドイツレクイエム
ブラームスの大傑作中の大傑作!およそ70分にも及ぶ大作ですが、実はこの曲、何度も付け足されて今の完成形に至っています。恩人であるシューマンが亡くなったことが作曲のきっかけと言われていますが、鎮魂歌ではなく、ブラームスの死生観を感じる内容となっているところが奥深いなと感じます。
・4つの厳粛な歌
こちらはバスとピアノのための歌曲で、ブラームス最晩年の曲であり、最後の歌曲です。
こちらもドイツレクイエム同様に自らの死生観を曲にしたように感じられる作品です。
・交響曲第一番
ブラームスは4つの交響曲を残していますが、ダントツで人気なのも、演奏回数が多いのもこの第1番です。ドラマの「のだめカンタービレ」で流れたこともあり、耳にしたことのある人も多いかもしれませんね。
この曲、完成までに21年もの期間を費やしています。
ベートーヴェンは9曲の交響曲を残しており、どれもこれも傑作だ!と称えられていたためこの9曲を超えようと四苦八苦した結果、21年というとんでもない時間がかかってしまったのです。
しかし、そんな苦労もあって「ベートーヴェンの交響曲第10番」と言われるほどの曲となりました。ベートーヴェンを尊敬してやまないブラームスにとって、これは最高の賛辞だったことでしょう。
おすすめはカール・ベーム指揮、ウィーンフィルとの演奏です。四楽章の弦のピチカートの緊張感がたまりません。
・ピアノのための6つの小品 作品118
ブラームスはピアノの小品を全部で5つ書いており、この作品118は最晩年の作品の一つです。最晩年の作品でありながら、まるで若かりし頃の自分を思い出すような穏やかで若々しい曲が詰まった小品です。
なかでも第二番の「間奏曲」は単独で演奏されることも多いほど人気です。
そのメロディーの美しさは一度聴いたら病みつきです。
難易度はそれほど高くありませんが、とにかく表現が難しいです。ペダリングにも細心の注意を払わないと台無しになってしまいますが、ぜひ挑戦してほしい一曲です!
まとめ
古典派から一気に飛躍を遂げたロマン派音楽、いかがでしたでしょうか。
ロマン派の音楽は日常の中でBGMとしても流れることが多く、耳にする機会も結構あったりします。
古典派時代を生きた作曲家たちから受け継いだものを大切に、そしてより一層豊かな音楽に変化したロマン派音楽の歴史。ほんの一部の紹介になってしまいましたが、聴いたり演奏するときにはぜひ時代背景や作曲家について深く掘り下げてみてください。