あまり知られていない西洋音楽史~バロック時代まで~
ルネッサンス音楽
ルネッサンス音楽は中世音楽とバロック時代をつないだ大切な時期です。
ルネッサンスは「再生」という意味を持っています。
ギリシャ・ローマの古代文化を再生させつつも新しい文化への移行を試みていた時代に誕生しました。
ついにポリフォニーが生まれました!
中世音楽は「平行オルガヌム」が精いっぱいでしたが、ルネッサンスでは「ポリフォニー音楽」が確立されます。平行オルガヌムのように簡単な音を主旋律に付けるのではなく、主旋律というメロディーにとらわれずに複数の声部が独立するようになったのです。
ルネッサンス音楽が始まった初期はまだ中世音楽の名残があり宗教音楽も多く見られましたが、教会の持っている権力が衰えるにつれて徐々に各地で作曲家と名乗る人が現れてきました。当時はまだ作曲家という職業がそんなに認知されておらず、作曲をする人たちが集まり「楽派」というものを作って音楽を発展させていったのです。
楽器の登場もこの時代
この時代の大きな変化として見逃せないのが楽器の登場です。
- ヴァージナル
- ヴィオラ・ダ・ガンバ
- リュート
- コルネット
- セルパン
- サックパット
- クルムホルン
あまり見かけない楽器ですが、現在の楽器の元になっているものもあります。
当時は楽器はあくまで声楽曲の伴奏をするための道具でしたが、楽器が出来たことで音楽の幅はより一層ぐっと広がりことになりました。
バロック時代
さて、みなさんが耳なじみのある16世紀に入って登場したバロック時代です。
バロックはイタリアで誕生し、一気にヨーロッパの多くの地域で広まりました。
この時代の音楽は「贅沢品」と扱われていました。教会が勢力を弱め、その代わりに王や貴族たちが権力を握っており、なにかのイベントがあるたびに作曲家に曲を作らせていたのです。
バロック時代の作曲家をご紹介します。
- モンテヴェルディ(前期)
- ヤコポ・ペーリ (前期)
- ブクステフーデ (中期)
- パッヘルベル (中期)
- バッハ (後期)
- ヘンデル (後期)
- スカルラッティ (後期)
- ヴィヴァルディ (後期)
- ラモー (後期)
- クープラン (後期)
次にバロック音楽の特徴を見ていきましょう。
バロック音楽の特徴
バロック時代はルネッサンス音楽の最後に出始めた楽器が拡大し、器楽曲が盛んになります。器楽曲が出来たことで音楽の幅が広がり、オーケストラも生まれました。
オーケストラが出来たことで声楽曲にも変化があります。
オペラの誕生です。バロック時代は空前のオペラブームでした。バロック以前は歌のみの音楽が主流でしたが、オペラの登場によって「独唱」が生まれ、「通奏低音」が使われるようになりました。
通奏低音とは?
通奏低音は簡単にいうと「即興による伴奏」です。メロディーを低音で支えるために演奏者がメロディーに合わせて伴奏をつけるものです。即興である理由として、当時は作曲家自身が演奏をしていたことが大きく関わっています。とは言っても作曲家以外の人が演奏する場合、勝手にどうぞと言われても困ってしまいますよね。。
通奏低音にはコードのように数字がつけられており、数字を元に演奏されることが多いです。
バロック時代はオペラが流行していましたが、その他にも歌と楽器による音楽のジャンルが誕生しています。
- カンタータ
- 受難曲
- オラトリオ
3つとも楽器と歌の編成に変わりはありませんが、受難曲とオラトリオには定義には違いがあります。
受難曲はイエス・キリストの受難を描いたもの、オラトリオは宗教を題材としたものであることです。どちらも似ているような気がしますが、受難曲はキリストの人生のそれぞれの受難の時期に合わせて演奏されることが多いです。それに対してオラトリオは時期を気にせず演奏されます。(クリスマスオラトリオなど時期の決まっているものもありますが)
3種類とも物語があり長時間の作品ですが、オペラのように演技や舞台装置がつかない、役ではなく「ソリスト」とよばれる歌い手がいることがオペラと大きく違う部分です。
バロック時代は中世、ルネッサンスから大きく飛躍し、音楽を大きく発展させた時代です。
まとめ
私たちが普段耳にしているクラシック音楽。実は教会音楽から始まったものなのです。演奏される機会は少ないのですが、最近では動画サイトなどでも中世、ルネサンス音楽を聴くことができます。
ぜひ中世からバロック時代までの音楽を聞いて音楽の歴史を楽しんでみてください。