フルートを買う! 気になるメーカーと評価は!? その③
「フルートを買う! 気になるメーカーと評価は!? その①」「フルートを買う! 気になるメーカーと評価は!? その②」では、国産の老舗フルートメーカーを紹介してきました。今回は海外老舗メーカーにも目を向けて、2本目、3本目の買い替えのサポートをしたいと思います。
初歩の方には参考にならないかもしれませんが、「いつかは!」と目標にしてみてはいかがでしょうか。
日本でも注目の海外メーカーのフルート
「パウエル」や「ブランネン」という名前を、聞いたことがあるのではないでしょうか。世界的に評価の高いフルートメーカーの名前です。
高級フルートといったイメージの海外ブランドが、近年、日本でもどんどん身近になってきているのです。
海外メーカーのフルートというと、やはり値段も高価ですが、それはやはり「より自分の音色を磨きたい」「出したい音色がある」となると、グレードの高いものを求めて世界に目を向けるからです。ちょっとした趣味として楽しみたいなら、作りのしっかりとした国産品が、ラインナップも豊富に揃っていて便利で、要望にもじゅうぶん応えてくれます。
しかし、海外メーカーのほうも、より多くのフルート愛好家に自社のフルートを楽しんでもらいたいので、従来品より値段を下げたモデルを開発してきています。
パウエルの低価格帯フルート
総銀製で150万円以上するパウエルの主力ハンドメイドフルートですが、管体銀製の「ソナーレ」は36万円(税抜・2016年4月現在)、総銀製の「シグネチャー」は69万円(同)と、より手軽に楽しめるモデルが出ています。
音色はハンドメイドとはやはり違いますが、同じ国産の総銀製フルートと比べると値段も同じくらいで、音もよく鳴ります。明るく大きく響き、タンギングにも迅速に応えてくれます。
ちなみに、パウエルのハンドメイドフルートは、昔のものと今のものと比べると、つくりが違っています。以前は明るい中にもまろやかな音色があり遠達性にも優れていましたが、今のモデルは明るくシャープな音色を持つようになりました。しかし、以前に比べて息を使わなくても鳴ることと、奏者のアクションに的確に反応してくれる点で、やはり優れたメーカーのひとつで有り続けています。
世界最高との声も高いブランネン
ブランネンのフルートは、ソロの演奏で非常に高いパフォーマンスを誇り、奏者の個性がとても反映されるフルートです。購入時にオプションや頭部管を選べるのはどこのメーカーでも同じですが、ブランネンはキーのシステムやスケール設計についてまでも、オーダーすることが出来ます。そこまで奏者のこだわりに応えてくれるところはさすがです。
その分、フルートを本当に吹ける上級者でないとブランネンの良さは引き出せません。値段の高いフルートは奏者のテクニックを存分に発揮します、逆を言えば、テクニックが足りないとポテンシャルが引き出せないのです。これは国産の値段の高いフルートにも言えることです。
国産フルートに無いものを海外フルートに求めることも
海外ブランドと日本ブランドの違いは、やはり音色や鳴りにあります。日本では、どちらかと言えば柔らかい上品な音が好まれますが、例えばアメリカでは明るくよく鳴るフルートが好まれやすいです。
今回紹介したブランドは、どちらも速いパッセージに強いようです。キーの遊びが少ないから指の動きが小さくて良く、良い部品を使っているために力も要りません。指の動きと息の使い方に素早く的確に反応してくれます。超絶技巧曲に威力を発揮するでしょう。
車で言いますと、アクセルを踏んだら即発進する高級スポーツカーのイメージでしょうか。アクセルとハンドルの微妙な制御で、走りが敏感に変わっていきます。
パウエルとブランネン。音色が好きなら、ぜひ将来、手にしてみたい憧れのブランドですね。いつかは! という憧れも、フルート上達に欠かせないモチベーションです。