ピアノのあれこれ③~ピアノメーカーごとの特徴を見てみよう~
③Bösendorfer
Bösendorfer Japan – ベーゼンドルファー・ジャパン – Bösendorfer (boesendorfer.com)
世界三大ピアノメーカーの一つ、ベーゼンドルファーはオーストリアにある音楽の都ウィーンに本社があります。世界最古のピアノメーカーとも言われていますが、現在はYAMAHAの子会社です。
手作業で作られている部分が他のメーカーよりも圧倒的に多く、1828年に設立されているにも関わらず、総生産台数は5万台程度です。
ベーゼンドルファーは温かみのある重厚な音色が特徴です。
よく「ベーゼンドルファーは弾きにくい」という声をよく聞くことがあります。
ベーゼンドルファーは音の立ち上がりが鈍く、打鍵後の音の持続性が他のメーカーに比べて長いことが「弾きにくい」と言われる理由だと思います。
初めて弾くと焦るかもしれませんが、30分も弾けば慣れます。弾き手によってかなり変わってきますので、弾くだけでなく、聞いていても楽しいピアノです。
ベーゼンドルファーには鍵盤数が多いピアノが存在しています。
アコースティックピアノの鍵盤数は88鍵、これは世界共通なのにベーゼンドルファーには「97鍵」と「92鍵」に拡張したモデルが存在しています。これはイタリアの作曲家ブゾー二が提案したと言われています。
鍵盤は低音部分に拡張されており、長い弦を足すことによって、よりピアノが深い音色を出す効果があります。
突然いつも弾いているピアノよりも鍵盤数が多いと幅も変わってくるし焦りそう!と思われるかもしれませんが、安心してください。拡張部分は間違って弾かないようにすべて黒で塗られていますし、カバーもついているので閉じることもできます!
④Steinway&Sons
スタインウェイ&サンズ東京 – 国内唯一の直営店| Steinway & Sons 公式サイト – Steinway & Sons
世界三大ピアノの2つ目で「スタインウェイ」です。
ドイツで生まれ、本社もドイツに所在していますが、アメリカにも本社があります。
スタインウェイは「高級ピアノ」というイメージがありませんか?
そう、スタインウェイは高いです。フルコンサートグランドは1000万超えは余裕です。
ブランドネームで高い、という声も耳にしますが、そのブランド力には納得のいく理由があります。
スタインウェイは創業してから125もの特許を取得しています。スタインウェイにしか出来ない技術があります。その技術に加えて、木材にもこだわりを持って作られているのですから、高くても仕方がないといえます。
そんなスタインウェイはやっぱりいい音がします。強靭な作りにも関わらず楽器全体の響きのバランスがとてもいいです。
打鍵してから音の立ち上がりも早く、クリアながらも繊細な音が伸び伸びと広がっていきます。高音がきらびやかな音を出すと、低音も少し物足りない軽めの響きになってしまいがちですが、さすがのスタインウェイ、低音はしっかり重さのある響きです。
⑤Bechistein
世界三大ピアノメーカーの最後を飾るのは「ベヒシュタイン」です。ピアノ界のストラディバリウスとも呼ばれています。
近年ではコンサートホールで見かけることも少なくなってきましたが、とにかくベヒシュタインが好き、というピアニストは数多くいます。
ベーゼンドルファーやスタインウェイに押されているかのようにも見えますが、アップライトピアノの品質は圧倒的に世界一です。世界中のアップライトピアノはベヒシュタインを目指して作られたとも言われるほどです。
ベヒシュタインの特徴は音の透明度が高いです。タッチもとても軽やかで弾きやすいですが、音の減衰が速いため、他のメーカーのピアノに弾きなれているとペダリングは少し苦戦するかな、という印象があります。ただし、この減衰が速いことによって音が混ざった時、消えていくときの色彩感がとてつもなく美しいです。印象派の作品を演奏するときはベヒシュタイン一択だと言いたいほど、他のメーカーでは味わえない素晴らしさがあります。
⑥Fazioli
最近大注目を浴びているイタリアの「ファツィオリ」です。
1981年創業とピアノメーカーとしてはかなり新しく、2014年のルービンシュタインコクサイコンクールで1位から3位までの入賞者がファツィオリのピアを使用したことで一気に世界で注目の的となりました。
ファツィオリの最大の特徴はペダルが4本あることです。
通常ペダルは最大で3本ですが、ファツィオリは4本目のペダルをつけることができます。これは特許取得もしているので、今後もファツィオリの大きな強みとなることでしょう。
ペダルの一番左側「ソフトペダル」は音量が抑える、音色を変える用途で使用されています。
ファツィオリの4本目のペダルは音色を変えずに音量だけ抑えることができるのです。
速いパッセージ、グリッサンドは音量を大きく弾くことはそんなに難しいことではないのですが音量を抑えるとなると技術的に難易度があがります。
それを楽にかなえてくれる画期的なペダルです。
まだまだ台数が少ないのですが、これから見かける機会が増えてくること間違いなしです。
まとめ
最近では様々なホールでピアノの試弾ができるイベントを開催しています。
気になるピアノがあれば試弾のイベントに参加してみてはいかがでしょうか。
世界のさまざまなピアノを弾く楽しみを作ることで毎日の練習にも張りが出ると思います。
楽しいピアノライフをお楽しみくださいね。