

絵本とともに育つ“聴く力”。歌いかけで音楽の土台を育もう
「もういっかい!」――子どもがそう言って、同じ歌を何度もせがむ。大人にとっては何気ない一曲でも、子どもにとっては宝物のような時間です。楽器がなくても、特別な準備がなくても、歌はすぐそばにあります。そして実はこの家庭での“歌の時間”こそが、音楽の土台をゆっくりと育てているのです。
今回は、ご家庭で無理なく音楽に親しめる絵本として、『くもんのうた200えほん』と、『3歳のうたとおはなし』をご紹介します。また、歌の絵本で育まれる「聴く力」についてもお伝えします。
長く使える一冊『くもんのうた200えほん』

『くもんのうた200えほん』は、その名の通り200曲もの童謡や唱歌が掲載された一冊です。昔から歌い継がれてきた曲から、季節の歌、手あそび歌まで幅広く収録されています。
この本の魅力は、「今」だけで終わらないこと。0〜1歳では親が歌って聞かせ、2〜3歳になると一緒に口ずさみ、年齢が上がると歌詞を目で追いながら歌えるようになる。同じ本が、成長とともに役割を変えていきます。
また、CDなどの音源が充実している点も心強いポイントです。200曲もあったら親が歌えない歌があって当然ですから、CDやダウンロード音源を使うのも良い選択です。正しい音程やテンポで繰り返し聴くことは、自然なかたちで“音感”の基礎を育てます。けれども、いちばん大切なのは上手に歌うことではありません。親の声で歌ってもらう安心感。そのぬくもりが、音楽への信頼感をつくっていきます。
物語と歌が楽しめる『3歳のうたとおはなし』

『3歳のうたとおはなし』は、10曲の歌と、12話の短いお話などで構成されています。3歳前後の子どもは、言葉の世界がぐっと広がる時期。物語を楽しみながら、その延長で歌に入っていけるのは、とても自然な流れです。
お話で気持ちが動いたあとに歌う一曲は、ただのメロディではありません。情景や感情と結びついた“体験”になります。この「体験としての歌」は、記憶に残りやすいのです。よく歌ってきた子は、リズムやフレーズを身体で覚えています。楽譜が読める・読めない以前に、音楽を“知っている”のです。それは決して特別なトレーニングの成果ではなく、日常のなかで歌ってきた積み重ねなのだと思います。






