

絵本とともに育つ“聴く力”。歌いかけで音楽の土台を育もう
目次
絵本と歌が育てる“聴く力”

音楽のレッスンというと、音程やリズムを正確に取ることを思い浮かべるかもしれません。けれども、その前に大切なのが「聴く力」です。
歌を繰り返し聴くことで、「音の高低」「テンポの違い」「フレーズのまとまり」「言葉のリズム」といった要素を、子どもは無意識のうちに吸収しています。絵本をめくりながら歌うと、視覚と聴覚が結びつきます。
実は、読み聞かせと音楽はとてもよく似ています。どちらも、呼吸とリズムが大切。どちらも、相手の反応を感じながら進めていく時間です。親子で向き合い、声を交わすそのひとときが、集中力や想像力の土台にもつながっていきます。
歌が育てる四つの音楽の土台①「音の高低」とは?
歌を聴くことで身につく要素のひとつ、「音の高低」とは何でしょうか。歌には必ず、音の上がり下がりがあります。高い音、低い音、その間をつなぐ動き。大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては新しい発見の連続です。たとえば、メロディが上に跳ね上がる部分では自然と気持ちも高まり、低く落ち着く部分では安心感が生まれます。子どもは意味を理解する前に、まず音の動きそのものを感じ取っています。
くり返し歌を聴くことで、「同じ高さの音が続く感じ」「ぐっと上がる感じ」「なだらかに下りる感じ」を身体で覚えていきます。これが後の音程感覚の基礎になります。ピアノの鍵盤で音を探すときも、「あの歌のあの高さ」という記憶が、目に見えないガイドになっているのです。
歌が育てる四つの音楽の土台②「テンポの違い」とは?
次に、「テンポの違い」とは何でしょうか。歌には速い曲、ゆったりした曲、途中でテンポが変わる曲もあります。テンポは音楽の“歩く速さ”のようなものです。子どもはテンポに合わせて体を揺らしたり、手をたたいたりします。速い歌では自然と動きが弾み、ゆっくりした子守歌では呼吸も深くなります。こうした体験を通して、「速い」「遅い」という感覚が身体にしみ込んでいきます。
レッスンでも、テンポを安定させることは大切な課題ですが、その土台は日常の歌の時間にあります。一定の速さで歌う経験を重ねることで、拍を感じる力が育っていきます。これは集中力や持続力にもつながる、大切な力です。
歌が育てる四つの音楽の土台③「フレーズのまとまり」とは?

では、「フレーズのまとまり」とは何でしょうか。音楽は、ただ音が並んでいるわけではありません。意味のあるかたまり、いわば“音楽の文章”があります。それがフレーズです。子どもは自然と、歌の切れ目で息を吸い、次のまとまりへ進みます。長いフレーズを一息で歌おうとする姿は、まるで言葉を一文として理解しようとする姿勢と重なります。
このフレーズ感を身につけることは、音楽を表情豊かに演奏するための基礎です。ただ音を並べるのではなく、「ここまでがひとまとまり」という感覚を持てるかどうかで、音楽の伝わり方は大きく変わります。
歌が育てる四つの音楽の土台④「言葉のリズム」とは?
最後に、「言葉のリズム」とは何でしょうか。童謡やわらべうたには、日本語特有のリズムが息づいています。「ことば」と「音楽」がぴったり重なっているのです。子どもは歌を通して、言葉の拍やアクセントを自然に体験します。強く言うところ、やわらかく伸ばすところ、短く区切るところ。これは、話し言葉のリズム感にも影響します。
言葉のリズムを感じる力は、読む力、聞く力にもつながります。読み聞かせと歌が相性がよいのは、このためです。どちらもリズムを伴う“音の文化”だからです。
こうして見ていくと、歌は単なる遊びではありません。子どもは楽しみながら、音楽の構造そのものを学んでいます。そして何より大切なのは、それが“教え込まれる”形ではないこと。安心できる声に包まれながら、自然に、ゆっくりと育っていくことです。






