五音音階とは?君が代はヨナ抜きの5音がメインで歌われる?
日本の演歌やスコットランドの民謡などにみられる五音音階(ごおんおんかい)をご存じでしょうか。通常、音階は7音(ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド)で構成されます。しかし、5音だけしか使わない音階というのが存在します。例えば、「ヨナ抜き音階」はヨナ(ヨン=4番目のファ、ナナ=7番目のシ)を使用せず、5音(ド、レ、ミ、ソ、ラ)だけで構成されます。例えば、松任谷由実さんの「春よ、来い」のサビはヨナ抜き音階になっています。今回は、ノスタルジックな響きを持つ五音音階についてご紹介します。
ヨナ抜き音階とニロ抜き音階
冒頭でご紹介した通り、ヨナ抜き音階とはド、レ、ミ、ソ、ラだけの音階のことをいいます。そのほかの五音音階の例として、「ニロ抜き音階」があります。ニロ(ニ=2番目のレ、ロク=6番目のラ)を使用しない5音(ド、ミ、ファ、ソ、シ)だけで構成されます。沖縄の民謡に多い音階で、THE BOOMの「島唄」などに使われています。
また、ヨナ抜き音階のド、レ、ミ、ソ、ラだけの音階はより正確に言うとヨナ抜き長音階といい、ラ、シ、ド、ミ、ファで構成されるヨナ抜き短音階というものが存在します。(ラシドレミファソの7音階の4番目と7番目を抜く)。同様に、ド、ミ、ファ、ソ、シのニロ抜き長音階に対し、ラ、ド、レ、ミ、ソのニロ抜き短音階もあります。
ヨナ抜き音階の曲の例
「君が代」はヨナ抜き音階が使われています(シの音がわずかに含まれますが、それも最小限にとどめられています)。
具体的には、次の通りです。きみがーよーは、ちよにーーやちよに、さざれ、いしの、いわおとなーりて、こけの、むーすーまーーで(レドレミソミレ、ミソラソラレシラソ、ミソラ、レドレ、ミソラソミーソレ、ラドレ、ドレラソラーソミレ)。
ヨナ抜き音階を使うことで、どこか懐かしさの漂うような不思議な雰囲気が醸し出されます。他にも、坂本九の「上を向いて歩こう」などがヨナ抜き音音階を使っています。
スコットランド民謡と五音音階
「蛍の光」も五音音階の曲です。もともとはスコットランド民謡の「Auld Lang Syne(オールド・ラング・サイン)」が原曲の「蛍の光」では、ヘ長調ですので、「ファ・ソ・ラ・シ♭・ド・レ・ミ」のうちヨナ抜きで「ファ・ソ・ラ・ド・レ」しか使われていません。
まとめ
郷愁、哀愁のようなものを感じさせる五音音階の世界。J-POPでも、嵐の「カイト」や米津玄師の「パプリカ」などで使用されるなど、昔の曲だけでなく現代の音楽シーンも彩るような美しい響きを持っています。演奏するときに頭の片隅に置いておくと、ミスタッチも減るかもしれませんね。