ハノンを勉強しないなんてもったいない!指の基本トレーニング
ピアノの基本練習のためのポピュラーで定番の教本の一つが「ハノン練習曲」ですが、まだやったことがないという人には、ぜひとも、ハノンを勉強してもらいたいと思います。ピアノ上達に欠かせない根本的な基礎力を鍛えてくれる教本です。初心者だけでなくプロも日々の練習に取り入れているほどの鉄板教本、「ハノン」の練習法についてお話しします。
ハノン教材
ハノンの練習で気を付けること
練習する時には、必ず意識して欲しいことがあります。ただ楽譜通りに指を動かすのではなく、弾く時の「音量」と「テンポ」に気を付けて練習することに、ピアノ上達のポイントがあるのです。
【音量】
ハノンは力技で弾くっものではありません。力んで弾くと変な癖がついて後々直すのにとても苦労してしまいます。フォルテ(強く)でバンバン弾くのではなく、メゾフォルテ(やや強く)か、メゾピアノ(やや弱く)で、体や腕が力んでいない感覚を大切にして弾きましょう。
♡コツ→ 優しい気持ちで弾くと自然と音量が整いますよ。
【テンポ】
テンポはどうでしょうか?速く弾くほうがよいでしょうか、それともゆっくり弾くほうがよいでしょうか?
まずは、ゆっくり弾いてみましょう。
弾きながら、手の形、手首や腕、肩や体に余計な力が入っていないか、自分で確認していきましょう。
どこか1か所でも力んでいると、指先にエネルギーが素直に流れていかないので、指先まで意識しながら弾けるテンポでかまいません。
私たちが体を動かす時、脳から筋肉に指令が送られていろいろな運動を行うことができます。ピアノを弾く時は、脳から指先へと神経伝達が行われますが、体が力んでいると指先の感覚が正常に機能しないのです。
力を抜く感覚がわかってくると、テンポを速くしても楽に弾けるようになりますよ。
♡コツ→ 肩の力を抜くと腕もだらんと下に落ちるよ。その脱力したまんまで、鍵盤の上にフワンと手を置いてみましょう。
どんな風な練習をするといい?
大前提として、ゆっくりなテンポで指先を意識しながら、脳と指先との神経伝達がうまくいっているかどうかを確かめながら練習することが大切です。指先のコントロールがうまくできるようになると、音の強弱を調節できたり、左右の指をスムーズに動かせるようになります。
【マルカートで弾く】
マルカートとは、音を「はっきりと」弾く意味ですが、ハノンの練習では、指先の感覚をしっかり感じながらひとうひとつの音をはっきりと、次の鍵盤に行く時に重心の移動ができているか、確認しながら練習します。
無造作に指だけを上げ下ろしするのではなく、指の根元の関節から動かせて指先を鍵盤に下ろします。鍵盤に触れたことを感じたら鍵盤を押さえます。ゆっくり、動きを見ながら自分の感覚を研ぎ澄ませながらひとうひとつ音を鳴らしていきます。
【リズムを変えて練習】
巻頭に応用リズムのパターンを載せてくれています。指が慣れてきたら、いろいろなリズムのパターンで練習していくとよいでしょう。
【左右の強弱を変えて練習】
利き手と利き手でない方の強さを変えての練習も取り入れましょう。
右手を強く、左手を弱くして弾いたり、またはその逆で弾きます。慣れてきたら小節ごとでチェンジしながら弾くのも、練習のマンネリ化を防ぐ方法のひとつです。
【スタッカートでの練習】
スタッカートでの練習では、2種類の練習方法をやると効果的です。
① ピアニッシモ(とても弱く)で、指先だけを使って弾く練習です。腕の重みをかけずに、軽くタッチして弾きます。
② 手首を使うくらいの強さのあるスタッカートで練習します。脱力はしているけれど、腕の重みをかけてスタッカートを弾く練習方法です。
まとめ
毎日指のトレーニングをすることで、ピアノを弾くための根本的な基礎力がつきます。初心者からプロまでの必須の練習曲です。
ハノンの練習を地道に続けていると、きっと半年もしないうちにピアノを弾くことの奥深さをしみじみと味わう体験ができると思います。
- 体、肩、腕、手首の力を抜いて、力技で弾かないこと。
- 音量やテンポに気を付けて、脳と指先の感覚をつなげる練習をやっているのだと意識すること。
- 脱力をしつつも、はっきりとした音を出せるよう練習すること。
- 指先をコントロールできている感覚を掴む。
- 空虚な練習時間にならないよう、練習方法を工夫しながらマンネリ化を防ぐこと。
ハノンは、ピアノの上達を目指すならば、避けては通れない基本練習です。
ハノンの他にも、ドホナーニやツェルニーなど、基礎力を身につける練習曲はたくさんあります。またご紹介もしていこうと思います。
皆さんの貴重な練習時間に、ハノン練習曲を使った指のトレーニングのコーナーを設けていただきたいと思います。10分でもいい、毎日続けていくことで、必ず皆さんのピアノライフに素敵な変化が訪れることでしょう。
応援しています!