「コンコーネ」でボイトレ”まずはこの一曲”
みなさん「コンコーネ」ってご存知ですか?声楽をはじめようとした方は必ずと言ってよいほど、練習するエチュードの作曲家の名前です。日本ではそのエチュードを作曲者名の「コンコーネ」と呼んでいます。このエチュードは、初めの方は比較的取り組みやすく、声楽をはじめる人も、ボーカルをはじめる人もどちらにも有効なものです。そこで今回からは、取り組みやすい数曲をご紹介して、楽曲分析をし、それを踏まえた演奏上の注意を解説していきます。
◆コンコーネ50の練習曲第1番
コンコーネは死後50年を経過しているため、パブリックドメインとして一般に楽譜が配布されています。IMSLPというサイトからすべての曲をダウンロードすることができます。ウェブ上ではどうしても見にくくなってしまうので、練習するためには、必ず印刷するようにしましょう。
◆コンコーネの練習方法
基本的にはコンコーネは以下のように練習します。
- ドレミ(音名)で歌う。:これによってソルフェージュ力を高めます
- 母音で歌う(「あ」や「お」が多い):これによって母音による響きの違いを少なくします。
- 「マ」や「ナ」で歌う
以上のように、歌詞がない分自由度の高い練習ができます。何かを歌う前の声出しとして歌ってみるのもよいでしょう。
◆楽曲分析
コンコーネの1番は、声楽を志す人だけでなく、吹奏楽部員など、声を出していこうとする人も練習する有名な曲です。もしかすると聞いたことがあるかもしれません。では、楽曲分析をしていきましょう。
①まず、この曲は練習曲の1番にふさわしく、主となるメロディーが順次進行(じゅんじしんこう)になっています。順次進行とは、音が飛ばない進行ということです。はじめからメロディーをドレミで読んでいってみましょう。すると「ドレミファソ ラシドレミ ミレドシラファミレ」(赤字は順次進行でない)となります。驚くほど、順番に音が並んでいます。
②次に伴奏とメロディの関係を見ていきましょう。はじめから8小節目までは、伴奏がメロディの音をすべて同じリズムでひいてくれています。しかし、中間部の9小節目から14小節目までは、伴奏は和音のみとなっています。
③最後に、音楽記号を見ていきましょう。この曲はクレシェンド・デクレシェンドが多用されています。基本的には、「フレーズを表すクレシェンド・デクレシェンド」と「音程の高低を表すクレシェンド・デクレシェンド」の2種類があります。
◆演奏上の注意点
それでは、演奏上の注意点を、楽曲分析の番号と対応させて解説します。
①この曲の主なメロディは順次進行となっています。一見簡単そうですが、人間は声を出すときに音域によって声の出し方を少し変えています。その変わる現象のことを「チェンジ」と呼んだりします。そのチェンジが上手くいかないと急に声が薄くなってしまったり、急に地声になってしまったり、でこぼこした印象になってしまいます。そのため、1音1音順番に上がっていく曲でチェンジの部分を違和感なく歌えるようにしていきましょう。
②この曲は、基本的にはメロディーを伴奏が弾いてくれているので、比較的歌いやすくなっています。しかし、9小節目から14小節目までは、和音しかなっていません。そのため自分の耳と感覚で音程を取らないといけません。しかもこの部分は、順次進行ではないため、しっかりした音程感覚が必要となります。
③赤いマーカーの部分は、音楽のフレーズを表すクレシェンド・デクレシェンドです。本当は書く必要がないかもしれませんが、初心者のためのエチュードなので、きちんと書いてありますこれを守ると、自然とフレーズ感を出すことができます。対して、青いマーカーは高い音が強くなるように指示されています。これもあまり意識しなくても勝手になるものではありますが、あえてしっかり意識することで、より音楽的に歌うことができます。
◆まとめ
いかがでしたでしょうか。このくらいなら歌えそうでしたか?演奏上の注意点をよく読んで、しっかり練習すれば必ず声がよくなってきます。伴奏を弾いてもらえない環境にある人はyoutubeなどにあがっている伴奏に合わせて歌ってみるのもよいでしょう。次回はコンコーネの2番を解説していきます!