ベートーベンの「第九」の歌詞とは?元は詩人・シラーの詩!
ベートーベンの通称「第九」、有名な「交響曲第9番第4楽章」の歌詞をご存じでしょうか?オーケストラの高らかな演奏とともに合唱団が歌い上げるドイツ語の歌詞は、ベートーベンが一部作詞していはいますが、実は詩人・シラーの「An die Freude(歓喜に寄す)」がもとになっています。華やかで元気がもらえる曲ですが、何を歌っているのでしょうか?早速見ていきましょう。
シラーの詩
Freude, schöner Götterfunken,
Tochter aus Elysium
Wir betreten feuertrunken.
Himmlische, dein Heiligtum!
意訳すると、「歓び、それは、美しい神々の閃光よ、楽園の乙女よ、私たちは、その炎に魅惑されて、入っていく、天上なるものよ、あなたの神殿に!」というような内容です。天上の光に導かれて昇天していくような、神々しい内容の歌詞ですね。そう、これは天使や神について描かれた詩なのです。
Deine Zauber binden wieder,
Was die Mode streng geteilt;
Alle Menschen werden Brüder,
Wo dein sanfter Flügel weilt.
そして、歓びだけではなく、兄弟愛を伝えるメッセージも込められています。「あなたの不思議な力が、わたしたちを再び結びつける。すべての人々は兄弟となる、あなたの柔らかな翼がとどまるところで。」
ベートーベンが第九を作曲した経緯
ベートーベンは1812年に第九の作曲をスタートさせ、1824年に完成させましたが、曲の完成時、すでに聴力をほとんど失っていました。作曲家であるにもかかわらず聴力を失うという絶望のどん底にいたはずなのに、歓喜をテーマにした合唱曲を作曲してのけるベートーベンの精神力は極めて強靭だといえるでしょう。聴力を失ったとき、一時は遺書を書いて自殺も考えたというベートーベンですが、「芸術だけが私を引き留めた」といいます。若いころから親しんでいたシラーの詩にインスピレーションを得て作曲することで、自分自身を鼓舞していたのかもしれません。
まとめ
日本人は「第九」が好きといわれていて、特に年末には各地でコンサートが開かれます。人々を団結させる音楽を聞きたいあなたも、明るい気分になりたいあなたも、「第九」コンサートに足を運んでみてはいかがでしょうか。